犬と布団に入って、目を閉じたら、すぐ意識を失った。
この世界から、違う世界へ跳び移った。
深夜に夫が帰宅した音にも気づかなかった。
目が覚めるまで、私に夫はいなかった。
私は何かに追い詰められる夢を見ていた。
何かの解決を迫られていた。
だけど現実の問題よりも生温かった。
気が楽だった。
窓の外が白み始めると、私は何度も目を覚ました。
目を覚ます度、私は私の夫の妻だと実感した。
恐ろしくて目を閉じると、夢の世界に戻ることができた。
私はまた何かに追い詰められる。
でもそっちがよかった。
私は何度でも現実から逃げることができた。
毎度同じ夢だった。
正確には毎度違う問題に直面していた気がするが、
現実よりマシだという点では同じだった。
でもだんだん現実に戻りたくなった。
犬は?
私にぴっとり寄り添って眠っていた犬がいない。
もう私を起こしに来てもいい頃なのに。
むしろ、その時間をかなり過ぎている。
私は現実の世界で体を起こして、辺りを見回した。
いた。
私の体温が熱くて、少し遠ざかって寝ている犬が。
疲れていた。
犬も私と同じくらい疲れていた。
私の犬なのだ。
私が喜べば喜び、悲しめば悲しみ、疲れれば同じだけ疲れる。
結局起きたのは9時だった。
温かい飲み物を用意して飲ませると、犬はまた眠り始めた。
いつもなら散歩へ行こうと急かすのに、今日は何も言わない。
まだ寝足りないと、こんこんと眠っている。
私はその隣でこの文章を綴っている。
幸せに生きなければ。
犬のためにも。
そのためにできることを考えよう。
できるだけ、夫のことは忘れよう。
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